自作直流電源
 
 

鉄道模型で列車を運転する時、ほとんどの方は鉄道模型メーカーの「パワーユニット」をご使用かと思います。大型レイアウトでは多くの直流電源を使用しますので、パワーユニットを多数使用したのではスペースがいくらあっても足りません。そんなとき自作で直流電源が製作できたら良いと思いませんか?

皆さんは「可変3端子レギュレータ」をご存知ですか?「可変3端子レギュレータ」は可変抵抗器(ボリューム)を回すことによって(直線式可変抵抗器もあります)出力電圧を可変出来る集積回路です。端子が3本しかないので、集積回路らしくないのですが、りっぱな集積回路です。使用方法を説明するためにデーターシートから図をお借りしました。入力電圧は直流で、出力電圧によって決定されます。出力電圧より3V以上高い電圧にしてください。尚、電気工作の内容については、別の書物等を参照してください。


 

入力電源としては、次の2つの方法があります。

 

①AC100VをトランスでAC15V位に電圧ダウン・整流して直流を得る方法
整流とは交流電圧から直流電圧に変換することです。整流用のダイオードを使用します。下図では、ダイオードブリッジと云うダイオードを4本使用した全波整流素子です。写真の黒い素子で、足が4本出ています。「~」マークにトランスからの2本の線を半田付けします。「+」端子はプラス極、「-」端子はマイナス極です。ダイオードブリッジは発熱しますので、放熱板が必要です。写真では大きなアルミ板にネジ止めしています。

全波整流したままでは直流電源にはなりません。平滑コンデンサを使用して脈流を含んだ直流電圧にします。電解コンデンサは、極性と言って電池のようにプラスとマイナスがあります。極性は電解コンデンサに明記されています。マイナス側に線を印刷されたものもあります。極性は絶対間違えないでください。間違えると破壊します。コンデンサには容量と耐圧があります。容量は1000μF(マイクロファラッド)位は欲しいです。耐圧は50V以上の物を使用してください。電解コンデンサは高熱に弱いのでダイオードブリッジのリード線に直接半田付けするようなことは絶対しないでください。

写真では紫色に見えるのが電解コンデンサで発熱体から離しているのがお分かりですか。注意点としては半田付けのとき手早く行い熱ストレスを与えないことです。半田付けは、半田付けする端子に予備半田した線を巻きつけ、そこに半田を押し付けて、それから半田ゴテを当ててください。よく半田ゴテに半田を当てて半田を溶かし、半田付けする物にこする人がいますがこれは間違いです。それでは半田付けは出来ません。

 
 

②スイッチング電源より直流電源を得る方法
DC24V出力のスイッチング電源で、出力電流が5~20A位のものを使用します。電流は使用する電流よりかなり余裕のあるものを選択したほうが良いと思います。インターネットで購入することが出来ます。スイッチング電源方式は省スペースなので、トランスが入手困難であれば迷わずこちらの方法を選択してください。尚、鉄道模型用の電源としては、DC24Vは電圧が高いので、スイッチング電源に電圧調整用のボリュームがあれば、電圧を下げて使用した方がベターです。「可変3端子レギュレータ」は、入力と出力の電圧の差が3V位あれば動作しますので、仮にDC15Vが最大出力電圧とすれは、「可変3端子レギュレータ」の入力側の電源電圧は18V以上であれば結構です。DC18V出力のスイッチング電源があれば、それを使用しても良いでしょう。

 

直流電源を3端子レギュレータのINより加え、上図のように配線すれば(可変抵抗器は「中央」と「端」の端子を接続し、残りの「端」の端子をLM317のADJ端子に接続してください。時計回しで出力電圧が昇圧すれば良く、逆の場合は「中央」と「端」の端子を入替えてください。)直流出力1.2V~を得ることができます。電圧は高めに出てしまうので電圧のチェックがすむまでは可変抵抗器を最大電圧まで回さないでください。

3端子レギュレータLM317は電流容量の大きなもの(1A以上)を購入し、放熱器をを取り付けてください。放熱器はアルミ板で10×10cm位あれば良いでしょう。さらにファンで風をあてれば放熱器の面積は半分位の大きさにすることが出来ます。

尚、3端子レギュレータは通常放熱器より絶縁します。特に他の電源と共通の放熱器を使用する場合にはご注意ください。絶縁用のマイラーやブッシュが販売されていますので、購入の際に同時に購入してください。

可変抵抗器R2の5kΩ、1W、B型は、頻繁に操作しますので、形状が大きく耐久性のある通産器用(東京コスモスRV30シリーズRV30YN20SB502等)を購入するようにしてください。

 

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