ポイントの切替について
 
 

私のNゲージレイアウトの場合ポイントの切替えは「ポイントコントロールボックス」を使用していません。特にヤードのポイントの切替えは非常に手間のかかる操作です。
そこで、操作パネル上に「照光式押しボタンスイッチ」を配置して、そのボタンを操作するとPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)からポイントの電磁コイルに電気信号を送ってポイントを動作させ、目的の線路に列車を導いています。

 


 
 
 
 

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は、内部にマイクロコンピュータが入っているCPUと云うユニットが頭脳になります。さらにその頭脳の手足になる入力ユニットと出力ユニットを接続して信号の入力や出力を行います。入力信号の指令によって出力信号をどう操作するかは、CPUと云うユニットに保存するプログラムによって操作します。

本コントローラでは、入力ユニットに「照光式押しボタンスイッチ」を接続し、出力ユニットに「照光式押しボタンスイッチの光源」や「ポイントの電磁コイル」を接続して「照光式押しボタンスイッチ」を操作すると「照光式押しボタンスイッチの光源」や「ポイントの電磁コイル」をプログラムどおりに動作させます。

出力ユニットは、トランジスタのオープン・コレクターの出力で、小型リレーを動作させそのリレーの接点で「ポイントの電磁コイル」に通電しています。通電時間はプログラムのタイマーの時間設定により自由に設定出来ます。クロスポイントは、通常のポイントよりも通電時間を長くしています。

私の場合CPUはオムロンの「CQM1」と云うタイプのものを使っています。(販売停止確認2013、9、6)ヤードのポイントの切替えは、押した「照光式押しボタンスイッチ」のLEDだけを点灯し、ほかの「照光式押しボタンスイッチ」のLEDは消灯します。こうすることによって現在どのポイントが選択されているかすぐ判別出来ます。又、ポイントは通常二つのコイルがあり切替える位置によってどちらか一方のコイルに通電します。通電時間は約1秒位で、あまり長く通電するとコイルが過熱しますのでご注意ください。したがってどのヤードに列車を導くかは、ポイントのコイルの通電の組み合わせになります。

PLCの内容については、インターネットや書物を参考にしてください。原理やプログラムの内容を理解すれば、そんなに難しいことではありません。PLCのプログラムの作成にはパソコンで使用する専用ソフトが必要です。一般的には「リレーラダー」と云う言語を使用します。PLCは非常に高機能な装置なので、踏切のランプの点灯、自動運転など色々と応用が効きます。

(2013年9月6日追加記事)
「現在の機材で実行するには」
自分のレイアウトの紹介はこのくらいにして、この記事をお読みになられて自分も同じようにやってみたいと感じられた方に情報を提供致します。
正直申し上げましてPLCは高価です。 しかし、1セット¥20,000位するモデルに比べてみれば、けして高く無いと思えますし実際に動くまでの過程でかなり楽しめます。それこそ、ご飯を忘れるほどプログラムの作成は楽しいですよ。そして、ポイントが自分の考えていたどおりに動作したときの達成感はすばらしいですよ!

この記事を書くために色々メーカーにも連絡をとって調べました。まず現在のポイントの仕様から始めます。KATO、TOMIXの両者とも電気的な仕様は全く同じでした。電圧はDC12Vで、ポイントを切替えるときは2本の配線の+と-を入れ替えることによって動作させます。
ポイントスイッチは、切替えるタイミングで約1秒間ポイントの電磁コイルに通電させます。これと同じことをPLCで行えばポイントを制御出来るのです。そこで、最も簡単にこれをPLCで行う方法を考えてみましたので下図をご覧ください。リレー1とリレー2の接点は、1回路2接点を使用した場合です。

1回路2接点とは、1つのリレーのコイルの通電で、一度に2回路の接点を動作させます。無通電の状態で接点が開放状態になっている方を使用します。このような接点をノーマルオープンの接点と言います。

ポイントを動作させるにはリレー1又は、リレー2のコイルに約1秒間通電させ、接点が閉じるときポイントのコイルに電圧を印加して電磁石にします。リレー1とリレー2を同時動作させることはありません。同時に動作させると電源が短絡しますので充分ご注意ください。

 
 

それでは、このリレーを動作させる回路の説明をしましょう。リレーのコイルの印加電圧はポイントの電源と同じDC12Vにすると無駄が無いと思います。電源の短絡防止のために1回路4接点を用いて非動作側のノーマルクローズの接点を直列に配線する方法もありますが、そうすると配線がたいへんなので採用しませんでした。

リレーのコイルに電圧を印加するにはPLC本体と追加する出力ユニットを使用します。出力ユニットには「トランジスターのオープンコレクタ(シンク)」と「リレー接点」の2種類があります。私は「リレー接点」の方が無理がきくので、壊れにくいと思っています。しかし、PLC本体がトランジスターのオープンコレクタ(シンク)であれば、それに合わせて統一するのも良いでしょう。
下図にPLCと1回路2接点リレーのコイルの接続図を記載しました。トランジスタ方式には保護ダイオードを取り付けました。耐圧100V以上の整流用のダイオードを使用してください。尚、電流容量は1Aもあれば充分です。ダイオードの向きご注意ください。


それでは、PLC本体と追加する出力ユニットについて、具体的な記載をしていきます。今回3社のPLCについて調査しました。まずは、コストです。次に入手性です。この2点を満足できないと採用出来ません。そして大事なことは、プログラムの作成です。
前編でちらりと触れましたが、パソコンでプログラムを作っていくと作業は非常に速いのですが、開発用ソフトは9万~15万位します。この費用を払っていただく事はできないとのことから今回提案していくのは、プロコンと言われているハンディ式のプログラム開発ツールです。
入手性及びコスト面での検討から、PLCの購入は、「MOnotaRO」と云うネットストアから購入すると比較的安く購入出来ることも分かりました。メーカーはオムロンと三菱電機です。参考価格も載せておきます。

具体的な型番を列挙する前に事前知識が必要です。オムロンの資料の中に非常に有用な物がありましたので、ご案内申し上げます。
①まず、ネットで「オムロン」を指定し、画面が表示したら「産業」の中の「制御機器・FAシステム」をクリックします。
②画面上部の右側に「ログイン・新規登録」で、新規登録を行ってください。登録が完了したら再びここまで戻ってきて、「ログイン」します。
③画面左側の中から「FAシステム機器」の「プログラマブルコントローラ」をクリックし、「CPM」をクリックしてください。
④「CPM1」をクリックしてください。下に「カタログ/マニュアル」がありますのでクリックしてください。次に「マニュアル」をクリックしてください。これで、下記の資料が参照できるようになります。

・CPM1Aラダーチャート入門編簡易マニュアル」SBCB-001B
・CPM1A基本操作ガイド           SCCC-031B
・CPM1Aプログラマブルコントローラユーザーズマニュアル SCCC-331P

これらの資料は本当に良く書かれています。PLCの中身が一遍に理解できます。是非このマニュアルや操作ガイドをお読みになっていただきたいと思います。

コスト面で、オムロンの製品は下記から選択なされたら良いと思います。
・CPM1A-40CDR-A-V1(CPU)入力24点、出力16点 @69,713
・CPM1A-40ER(拡張ユニット)入力24点、出力16点   @42,338
・CPM1A-20EDR1(拡張ユニット)入力12点、出力8点  @23,521
・CQM1-PRO01 (プロコンケーブル付)           @  ?
・C200H-PRO27(プロコンケーブル無し)         @44,000
・C200H-CN222(C200H用プロコン用ケーブル2m)  @ 6,600
プロコンは、上記の2種類のうち、入手出来る方をご使用ください。

これらの中から、必要な入力点数、出力点数を確保することになります。
1つの本体(CPU)に対して、追加できる増設ユニットは、最大で3台です。

コスト面で、三菱電機の製品は下記から選択なされたら良いと思います。
・FX1N-60MR-D(CPU) 入力36点、出力24点     @4,0510
・FX2N-16EYR (拡張ユニット)出力16点(リレー接点) @12,155
・FX-30P(プロコンケーブル付)               @2,8000

これらの中から、必要な入力点数、出力点数を確保することになります。

この2社を比較すると明らかに三菱電機の製品の方が安くて出力の増設面でも有利です。これは、「MOnotaRO」の販売価格が影響しているようです。私は、三菱電機を選びたいと思いますが・・・・
レイアウトの性格上どうしても「出力」の点数が多いので、FX2N-16EYRを複数台使用することになると思います。出力の増設をどうしても意識しますので、三菱電機の方が無駄が無いと思います。

リレーの選択は、どのように配線するかで決まってきます。ユニバーサルボードにリレーを固定するならオンボードタイプです。ソケットタイプならオムロンの「MY2」が一般的ですが、もちろんさらに小型のリレーを選択なさってもOKです。ポイントのコイル通電電流より接点容量は余裕をみて0.5A以上あればOKです。 1回路2接点にご注意ください。照光式スイッチは、LEDを使用した物なら電流制限抵抗の存在にご注意ください。

抵抗がが無い場合は、電源電圧を12.0Vととして、

(12.0 - 1.0)/0.02=550Ω→470~560Ω(電流制限抵抗値)


尚、クロスポイントについては、その性格上2点の入力を使用します。私の場合は色違いの照光式スイッチを使用しています。ヤードの制御は、押されたスイッチだけの照明を点灯し他のスイッチの照明は消灯します。ポイントのコイルは、押されたスイッチのヤードに列車を導くようにコイルに通電します。


線路のどこにスイッチを配置し、列車をどう導くかよく検討なさってください。その際に私のコントローラのパネルも参考になさってください。この事前調査を入念に行ってプログラムを作成する段階で誤りを発見するようなことが無きようご注意ください。皆さん!ポイントの自動化をご検討ください。


(2013年9月17日追加記事)

TOMIX総合ガイド(2012-2013年版)(7034)のP426に「レールの規格と使い方」の説明があります。そして、「トミックスお客様相談室」で、確認したところポイントの茶線がプラスで、白線入りの線がマイナスと教えていただきました。この極性で電圧12Vを1秒間印加すると、列車は右側に曲がる方向に切り替わると教わりました。KATOに関しては、分かりませんとの回答でした。正確に電圧の印加方向を確認するには個々のポイント別に現物で確認するしかないようです。これを確認することがポイント制御の最初の工程になります。

①「ポイントコントロールボックス」からポイントのコネクタを抜いてください。
②「ポイントコントロールボックス」のコネクターにクリップを伸ばした物をさしこんで、デジタルテスターを接続します。ショートにご注意ください。
③レバーをゆっくり動かして、電圧の極性を確認してください。手前に倒すときと奥に倒すときで極性が逆になります。この確認は1ヶ所行えばOKです。この確認でメーカーや機種ごとの違いによる間違いの発生を防止できます。
④電圧の極性が確認できたら、コネクタを元にもどし、手前に倒すときと奥に倒すときの全てのポイント位置を記録していきます。

これで、全てのポイントのコイルの2本のリード線の色と加える電圧の極性を把握することが出来ました。したがって、前記の1回路2接点のリレー1とリレー2のどちらを操作すれば、ポイントがどちらに切替わるか把握できたと思います。

「プログラムサンプル」
5本ある各ヤードに照光式スイッチを設置した場合を「例」にして説明をします。スイッチはノーマルオープン(押さない状態でOFF、モーメンタリースイッチ)とし、照光はLEDとします。
ここでは、リレー1を1秒間通電すれば右側に、リレー2を1秒間通電すれば左側に切替わると云う前提で進めます。記号はポイント1のリレー1は「P1-R1」、ポイント1のリレー2は「P1-R2」と表記します。



上記の「ヤードの制御」からカウントするとすると、「入力」は5点、「出力」は13点を必要とします。しかし、このヤードだけでポイントが全てではありませんから、余裕をみて「入力」が36点、「出力」が24点の三菱電機「FX1N-60MR」を選択致します。もちろん将来の拡張を想定して増設ユニット「FX2N-16EYR」(出力16点)を増設しておくのはベターだと思います。

「入力リレー番号」としては昭光スイッチ用にX000、X001、X002、X003、X004の5点を使用します。「出力リレー番号」としては昭光スイッチのLED用にY000、Y001、Y002、Y003、Y004の5点を使用し、1回路2接点リレー「P1-R1」~「P4-R2」にはY010、Y011、Y012、Y013、Y014、Y015、Y016、Y017の8点を使用します。

これを接続図にすると下図のような配線になります。1回路2接点リレーと昭光スイッチのLEDの電源は12Vです。スイッチはモーメンタリー(押したときだけON)です。


この接続図で、これからプログラムを作成しますがその前にFX1N-60MRの仕様を説明しておきます。尚、三菱電機のFXシリーズのマニュアルで「FX1S、FX1N、FX2N,FX1NC,FX2NCプログラミングマニュアルJY992D59101」をネットで見ることが出来ますので、基本的な部分を拾い読みしてください。応用命令は全く使用しませんので、読み飛ばしてください。

「FX1N-60MRの仕様」
・プログラム保持用メモリー 8000ステップ EEPROMメモリでバッテリーレス
・演算スピード 0.7μs/命令(接点命令時)
・入力リレー36点、X000~X007、X010~X017、X020~X027、
 X030~X037、X040~X043 外部の信号を取り込みます。
・出力リレー 24点、Y000~Y007、Y010~Y017、Y020~Y027
 外部に信号を出力します。
・デバイス 補助リレー M000~M383の384点(一般用)。M384~M511
 (EEPROMキープ)。M512~M1535(コンデンサキープ)シーケンサ内部
 だけで使用できます。外部との入出力はできません。
 タイマ 246点 T000~T199 200点 100ms、T200~T245
 46点 10ms
 データレジスタ 128点(使用しません)。カウンタ(使用しません)。
・電源 AC100~240V
・入出力増設が可能な端子台タイプのスタンダード機

それでは、ヤードのポイント制御のリレーラダープログラムを記載します。

















P1-R1~P4-R2まで、ポイントを切替えるときのみリレーが動作するので、ペアーになっているリレーがONのままになっていることは無いのですが、万が一のこともあるのでペアーになっている片方のリレーをONするときはもう片方のリレーを必ずOFFにしてから行うようにしました。しかも0.5秒の時間差を設けました。こうすることによって、スイッチを早押ししても、+12V電源がショートすることは、ありません。

リレーラダーのプログラムをPLC本体に入力するのはプログラムコントローラです。FX1Nシリーズマイクロシーケンサには、本体にハンディマニュアルが付属してます。P35~37に「FX-30P」が紹介されています。
Webには、
「FX-30Pインストレーションマニュアル」
「FX-30Pオペレーションマニュアル(有償)ダウンロード出来ます。
「FX-30P F/Wアップデートツールオペレーションマニュアル」
が掲載されていますが、リレーラダープログラムをリストプログラムで入力します。パソコンソフトに比べると時間がかかりますが、パソコンソフトもなれるまでは時間を要しますので、簡単なプログラムであればすぐ使用できるようになると思います。


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